お知らせイベントスケートボード

スケートパークをつくりましょう(スケートボードパークの作り方 その1)。

●スケートパークを増やしたい

今日は雨です。ひさびさ。

さすがに雨だとどんなに素敵なパークでも滑れませんよね。室内パークは今後どんどん需要が上がってくるかと思います。スケートボードパークに関して前回書いた投稿に補足したいことがあって久々にガッチリと。

 

●パークに関して知っておいて欲しいこと

さて、今日はみなさんに知っていてもらいたいことがあってblogを書こうと思いました。スケートボードパークのこと。

先日、舞浜スケートボードパークがオープンして、予想以上に好評で天気がいい日は大盛況。胸張って自分が好きなルーティンで滑れるのって本当に気持ちがいい。僕の中ではスケートボードは街のものなのですが、スケートパークがあればこそ、のシーンの成長やローカルの活性化はもう完全に周知の事実。無いよりはあった方がいい。あるならばより魅力的な方がいい。魅力的であるならば気持ちよくずっと使える方がいい・・・。当然ですよね。

 

●先日のBLOGから生まれたこと

ちょっと小話ですが、先日、某自治体の市議会に招聘されました。「スケートボードについてご説明頂きたい」、「コンテストシーンやパークに関してご意見頂きたい」と。その辺、完全に得意分野です。たぶんそのテーマだとお伝えしたい事を話切るまで7日間くらいかかります。でもね、場所は完全にアウェイの市議会の壇上。マイクあって部屋中カメラ付いていて、話す事すべて議事録が作られて録画されてる。目の前には議長と市議会委員の方がズラッと。僕ははじめて「蛇ににらまれたカエル」の気持ちがわかりました。相手が蛇って訳じゃないですよ。全く悪い事なんかしてないのに、スケートボーダーの習性としてヒット&アェイの精神が染みついているのか、正直なところ7日間話し続けることはできず、お伝えしたい事の18%くらいまでしか話せませんでした。あら、前置き長いすね。失礼しました。実はこの市議会への招聘に関しては、ローカルスケーターの「陳情書」からはじまっておりました。市議会から資料として頂いた陳情書を読んで驚きました。だってそれ、僕が前にこのblogで書いた陳情書。そしてそれをアップした時に「どんどんコピペして地元の状況に合わせてリライトして提出してください」と書いてあったものです。ぶっちゃけ嬉しかった。そうやって僕のアイデアが誰かを介して誰かが動き、実際にどこかでスケートボードパーク設立へ流れが生まれていく。いいことじゃないすか。どんどんやってください。僕のスケートライフが何かの役に立てることはありがたい。

 

●まずは滑る場所を増やす

先日の投稿で書いた通り、今、一番必要なことは「滑れる場所を増やす事」です。ローカルベースで胸張って練習できる場所を確保することが、シーンを育て、カルチャー継承を促し、スケートライフを充実させます。でもね、ローカルのスタイルに合わないパーク、望まれていない内容のパーク、一部の人にだけ有利なパーク、なんかはせっかくパークができたのに・・・・、って結末になってしまうこともあるのです。これ事実、僕は全国で何か所もそういうパークを見てきました。

そこで、今回はスケートボードパーク設立に向けて、なにをどういう風に進めて行けばいいのか、をちょっとご説明したいと思います。すでにblogとしては長くなってしまってますが、さらにもっと長くなりますので、スケートボードパーク設立に興味がない方はこの辺でWEBストアの最新アイテムでも眺めてください。

 

●仕組みを知ること

さて、前回の投稿でお伝えできなかった部分から行きましょう。まずは「最初の一歩」をどうするか、ってところの前に、自治体のシステムはどうなっているか、ってことを知る必要があります。よく「市長がパークを作ってくれた」とか「役所にパークを作ってもらう」って言葉を聞きますが、みなさんは市役所、市長、市議会の3つのポジションを理解してますか?僕はまったく知りませんでしたし、知っていても自治体によって色々なケースがあることを知りました。まず、市長や区長、知事のポジションは市民や区民の代表です。決定したり指示するポジションです。市長がスケートボードを理解し、パークの必要性を認めてくれればこれほど心強いことはありません。次に市役所。市役所には色々なセクションがあり、パークを管理するセクションや、パーク工事を管理するセクション、パークを作る費用を管理するセクション、など色々な部署の色々な人がパーク草案からオープンまで関わってきます。ひとつのセクションのひとりの人がパークを作ろう、とか決めることはできません。パークをどこにどれくらいの規模でいくらくらい使って作るのか、をチームで検討してそれぞれの担当のミッションを遂行します。逆に言えばそれぞれのミッションだけ遂行するのが仕事であり、別のセクションの業務や決定に踏み込むことはしません。よく言う「たらい回し」に感じてしまう人も居るかもしれませんが、実際に縦割りセクションでは横向きに意見を通すことは難しいのDEATH。では市議会の役割りはなんでしょう?市議会は例えば「スケートボードパークが欲しい」という市民区民の声を、本当にそれが必要なのか、いつどのような形で進めるのか、どれくらいの規模で予算はいくら使うのか、などを決めることです。市役所がじゃあパークを作りましょう、って言っても、そのパークを作る予算を決めるのは議会です。市役所の熱血担当の人がいくら頑張っても議会がNOと言えばパークはできません。

 

●仕組みをつなぐ

例えば、市長が「若い世代のためにスケートボードパークを作るのはどうなんだ?」って流れから陳情書が出ていれば、議会が「市議会にかけて必要性を審議しましょう」ってことになり、市議会議員の採決で必要と認められたら、市役所が場所を決めたり設立までのスケジュールやコストを出して再度総工費を議会を通して決めるのデス。予算が通れば設計や施工の業者の入札や選定があって工事に入る感じです。ここまでなにか間違っていたらご指摘お願いします(こちらのフォームから)。設計や施工に関しては色々なステップがあって素敵なパークを作るまで落とし穴がいっぱいあります。

僕は実際のところ、市長は市役所のボスだと思ってました。普通の会社の社長と社員のような関係なのかと。また重要な決定は役所の中で行われているのかと思ってました。実は市議会がとても重要なのは知りませんでした。そしてそれぞれの関係性にパワーバランスがあり、しきたりがあり、ルールがあり、手順があり・・・、ということを知っておくことがとても重要なのです。ちなみに市長や区長、市議会、役所の関係性に関しては、いろいろな自治体HPで調べられますのでより詳しく知りたい方はググってみてください。

 

●はじめの一歩

で、やっと本題。「はじめの一歩」。ここをどう出すかはもう僕のスケートライフで色々なパターンで試してきましたが、もう結論として以下の2点、もしくはその両方を行って下さい。

1、市議会、区議会の議長宛てに「陳情書」を提出すること。

2、「市長へのメール」や「区長への手紙」など、直接市長や区長にパークの必要性を訴える事。

・・・の2点です。まずは「自分が住む街の名前+市議会」などでググってみて、議会のHPから陳情書の出し方をチェックする。自治体の様式に合った署名があればより効果的だけどマストではありません。または自分が住む街のHPから市長に直接コンタクトが取れる方法があるか確認する、ってところから。また、お父さんの友人とか、お母さんの親戚とかで市議会議員、区議会議員がいらっしゃる場合は「陳情書」ではなく「請願書」にしてください。これは議員から提出するもので、陳情よりダイレクトに議長に請求するような気がします。確約できませんが。

 

●サンプルのキャプション

念の為、この前の投稿の時に書いた陳情書の見本をまたコピペします。ちょっとだけ現状に合わせてリライトしましたので、これからはこっちの方がよりリアルな気がします。

***** 以下コピペ ******************

スケートボード練習場(アクションスポーツ場)の設置を求める請願書

浦安市議会議長殿

請願理由

2020年の東京五輪で正式採用が決まりましたスケートボードですが、僕らが住む浦安市でもスケートボード愛好者が続々と増えてきています。全国的にはおよそ40万人の愛好者がいるといわれているこのスポーツは、ここ数年インラインスケート、BMXなどの「アクションスポーツ」の一種として若者を中心に人気が高まり、その愛好者数も飛躍的に急増中であります。発祥の地のアメリカではほぼ全ての州に愛好者の為のスケートボードパークが設置され、学校の敷地に教育活動の一環として、また青少年育成の為に設置しているところもあります。また公立の公園内にも大小さまざまな規模の設備があり、子供から大人まで様々な年齢の愛好者たちの交流の場となっております。また、すでに職業として成立しているプロスケートボーダーも人数が増え、600人を超える選手がプロスケートボーダーとして生活している環境でもあります。子供から大人まで健全なスポーツとして認知され、アメリカの小学生を対象とした「好きなスポーツ」のアンケート調査での人気ランキングも野球・バスケットボールについで3位に付ける人気スポーツとなっております。さて、日本では東京都、富山県、神奈川県、岐阜県、山形県、京都府、など一部の場所で公共施設としてのスケートボードパークが設置されつつありますが、その規模や内容、数において、急増するスケートボード愛好者にとても対応できている状況ではありません。浦安市にも沢山の愛好者がいるのですが、練習する場所が無く、しかたなく公園内や歩道で練習する光景も多々見かけられます。すでに何年もこの状況は変わらないのですが、どこで練習しようとしても「歩行の邪魔になる」、「音がうるさい」などと言われてのびのびと練習するどころか、追い出されてしまうことが多いのも現状です。これからも増えていくだろうと思われる愛好者に対する対応と、すでに何年も練習を重ねプロライダーになる目標があるような愛好者達、親子でスケートボードを楽しむ愛好者、などが堂々と練習できる環境の整備を願いつつ、今回請願書を提出することに致しました。 (同時に地元の有志の愛好者達が集めました署名も添付いたします。)スポーツを通じての青少年育成、地元住民のコミュニケーションの場、としての観点からもスケートボード練習場の設置を要望いたします。

1、子供から大人まで自由にのびのびとスケートボードを練習できる場所を浦安市内に作ってください。

2、設備などは様々な種類・形状がありますので、愛好者の意見を取り入れてください。

3、夜学や仕事をしながら練習をしている人も多いので夜間でも練習できる環境にご配慮ください。

4、設備の設置や、設置後の環境において予想されるべき問題点を事前に検討し、利用者の観点から見て魅力的な場所にしてください。

5、愛好者にとっては切実で緊急な要望でもありますので、早急に対応してください。

アクティブスポーツ場を作る会

代表 ●●●●  浦安市北栄●-●-●

***** ここまでコピペ ******************

って感じです。もうマルっとコピペして、お住いの自治体の名前に変えて提出する感じでいいかと思います。僕は日本中すべてのローカルのスタイルを知っている訳ではないので、ある程度どんなスタイルのスケートボーダーでも当てはまるように考えて書きました。この陳情書には、僕なりの蓄積でいくつものポイントが入れてあります。需要に対しての供給が足りていない事、世界ではスタンダードになっていて日本でもその流れが太くなってきている事、愛好者は困っている事、少人数で活動していても、愛好会、協会の代表として活動しているスタンスも大事です。

 

●お伝えすること

陳情書が受理されて審議されることになったら、陳情者に内容の詳細を聞くケースがあります。その場合はこの陳情書の内容やローカルの状況に関して色々聞かれることになります。「地元に愛好者は何人くらいいるのか」、「現在はどこでどのように練習しているのか」、「練習した先は選手になるのか」、「騒音はどれくらい出るのか」、などなど、逆にあなたが市議会議員でまったくスケートボードを知らなかったら何を聞くか想定して、何を聞かれても自分なりの意見が言えるように少し準備した方がスムーズかもしれません。あなたが全力でお伝えしなければいけないことは下記の3点。

1、世界的なスポーツで愛好者も急増しているのに、安心して練習できる場所が圧倒的に少ない

2、地元の愛好者代表(ひとりで活動していても)として、愛好者の需要にこたえられる規模の練習場を要望します

3、2020年の東京五輪に向けて、今後はさらに愛好者が急増します

ってことです。細かい内容に関しては陳情書に記載されているので、議会での説明はこの3点に絞ってお伝えするのがいいのかと思う。ここまでが「最初の一歩」です。あなたがやる事はそんなに難しい事ではありません。家に居てもすぐに、その気になれば今できます。

 

●ひょうたんから何か

さて、「最初の一歩」が出せたら、あとは予測できない部分になります。ある場所では市長にご理解頂けるかもしれません。ある場所では市議が本気になってくれるかもしれません。ある場所では突然市役所から連絡が来るかもしれません。全くリアクションがないこともひょうたんから何かが出てくることもあるでしょう。でもやってみなければわからない。「無理っしょ」って何もしなければ何も変化も結果も出ないのデス。

 

●これが大事

「最初の一歩」から反応が出てからは、またとっても重要なステップに進みます。せっかくパークが作られることになったのに、ローカルにとって全く魅力がないパーク、その時のローカルだけ楽しんですぐに誰も来なくなるパーク、管理運営で失敗して雰囲気が悪いパーク、セクションが壊れても直してもらえないパーク、立地条件が悪すぎて利用者がいないパーク・・・、などなど。まあ僕はこの30年で色々なケースを見てきました。

ここで「最初の一歩」を潜り抜けた皆さんに、絶対覚えておいてほしい事。

*** *** *** ***
パークが作られることになったら必ずローカルじゃない詳しい人に手伝ってもらうこと
*** *** *** ***

はい。ここが今回の結論です。パーク設立が決まるとローカルはかなり喜びます。みんなでどんなセクションがいいのか考え始めます。あなたが好きなバンクの角度は何度ですか?あのトリックがメイクしやすいRは2300?2700?高さはいくつ?あのバンクのトップから次のバンクtoバンクまではどれくらいの距離が適切ですか?敷地面積に対して効率良くセクション配置がされていますか?夜も滑れるようにする場合、照明はどれくらい必要ですか?路面のコンクリートはどういう仕上げがいいですか?勾配はどうしますか?排水は?コーピングは何パイ?・・・・などなど。実際のパークを作る事になると、実にたくさんの決めないといけない事が出てきます。まずそれを「スケートボーダー語」から「役所語」に翻訳する役目が必要です。そして誰がどのように設計してその設計がどうなのか俯瞰して判断する人も必要で、そうやって出来た図面をきっちり施工する技術がある施工業者も必要で、実際の工事でどう作られているのかチェックする人も必要です。「パークができる!」って期待が落胆になるか歓喜になるか、ただ「最初の一歩」を打つだけでは進めない部分もあるのです。

 

●お手伝いします

で、ここまで来て、もし困った人は僕にご相談ください。何度もスケートボードパークの設立にアドバイスさせて頂いた経験から、コンサルタントとしてご協力できる場合はあなたのローカルに合った形でどうやってパークを作っていくか相談に乗れるところは乗っていきます。もちろん僕に相談することが最善の道じゃないこともありますので、しっかりローカルのみんなで相談して、必要があればフォームからご連絡ください。

なんだかまたテレホンショッピングみたいになってしまいました。ちょっと臭い感じもしますが別に営業をしたい訳ではありません。全国の色々なローカルで、せっかくパークが作れることになったのに、実際にできたらスケートボーダーが落胆するようなパークを見るのは辛いのです。設計だけじゃなく管理運営も大事なファクターです。基本的にはスケートボーダーの事はスケートボーダーが良くわかっていて、それ以外の人は理解するのが難しい。だから僕みたいな役目をする人も必要な世の中になってきたのかな、って思いです。

 

●舞浜ローカルのみんなへ

また別件ですが、浦安市役所 市民スポーツ課にご理解頂き、なんと立派なかっぱぎを二本、パークに設置して頂きました。マジうれしい。雨上がりのパークで仲間とかっぱぐのは楽しそうですね。実は舞浜のパークはコンクリの敷地のひび割れ防止に目地が入ってます。そこをうまく使ってかっぱぐとかなり効率的に水たまりが潰せます。そのへんもローカルスキルを作り上げてほしいです。そして以下の2点をご留意お願いします。

1、使用後はかならずランプの下に戻すこと
2、大事に使う事

以上です!市役所だって愛好者だって中身はひとりひとりの人間です。「市役所のかっぱぎ」ではなく、「雨上がりに滑れるように用意してあげよう」っていう人の想いを「ありがとう」って気持ちで使わせて頂くのがいいのかと思います。ローカル諸君はもし出しっぱなしのかっぱぎを見つけたらそっとランプの下に片づけてくださいね。よろしくお願いします!

あ、浦安は雨あがりました。