やわらか〜い

てんちょです。

お店でスケートボードを初めたいというお客様が来てくれた時に、まず最初に聞くのがトリック用かクルーズ用かの2択です。 スケートボードには本来数え切れないほどの楽しみ方があって2択にしちゃうのが心苦しいのですが情報多すぎて悩ませてしまうのも困るのでまず2択にしています。

簡単にいうとウィールが硬いか柔らかいかの違いだけです。板の形も色々ありますが単にトリックするつもりのないクルーザーだったら板の形が割となんでもいいので、昔の形の板だったり不規則な形の板でもそこまで支障がないというだけです。

トリックも普段みたいにしたいのなら普通の形の板にソフトウィールをつければOKです。

ウィールが柔らかいとスライドやグラインドをする時に引っかかってしまってやりにくいです。特に斜めがけのKグラ、スミス、フィーブル、ウィールの接地面が多いボックスのボード、リップ、ブラント、さらにしゃくり系のフラットトリックはやり方少し変わりますね。

なんでいきなりこんなことを言い出したのかというと、自分はクルーズが好きだからです。色々な技がやりにくくなるかわりに、めっちゃプッシュが楽だし気持ちいいからです。

例えると、総合格闘技やっていたのにボクシングルールで戦っている気分です。

制限される楽しさと、制限されたからこそ深掘りされる技術の奥深さが楽しいです。ボクシングはパンチのみだからこそ色々な種類のパンチやディフェンスの技術が発展しました。

それと同じようにややこしい技ができないからこそ、どこでもオーリーできるとか5050できるとか、交通状況の把握と対応の早さや、ささやかなスラロームで加速できるとか、長距離マニュアルできるとか、ダウンヒルでのスピードコントロールができるとかできないとか。基礎的なことだけでもスケートボードは一生費やしても足りないくらい沢山の技術や感覚があります。

そしてストリートは路面が良くないところが多く、特に沖縄は悪路まみれなのでソフトウィールが非常に気持ち良いのです! シンプルに地上10センチくらいの高さに立ってるだけでぐんぐん進んでいく感覚は気持ちいのです! かく言う自分もスケートボードをはじめたての頃はクルーザーに全く興味を持っていませんでした。トリックがやりにくくなる時点で眼中に無かったです。しかしある時両足を思っきしひねって2年間くらいまともにスケートできないことがありました。その時にトリックはできないけどプッシュくらいならできるまで回復してきた時、クルーザー組んで自転車がわりに乗っていました。思いのほかハマりました。

そして足が治ってからもクルーザーでスケートパークを滑っていました。意外とできるやん。と。4〜5年ほどクルーザーしか乗らない日々が続きました。

今はどっちもやりますがストリートはほぼクルーザーです。

ハードウィールのかっこよさもめちゃくちゃわかります。路面の変化による音の変化、パワースライドの気持ちよさ。多種多様なスポットへのアプローチ。シンプルにかっこいい。

最近ではハードウィールの大きめ、55〜60ミリくらいのを付けてストリートを滑る人が割と多くなってきています。ウィールの直径が大きく重量が重くなると遠心力がかかる力が強くなるので同じ硬さの52ミリとかに比べると断然速いです。しかもグレイチングや小石、溝につまずくことも少なくなるのでいいですね。しかしトラック柔らかめが好きなスケーターだとウィールバイトしまくるのでライザーパッドが必須になり、テールがだいぶ地面から遠くなるのでテールヒットの感覚が変わります。

スケートボードは時代の流行や個人の感覚で多種多様なセッティングがありますが、その中で自分がどんなものを選べばいいのかはかなり試行錯誤が必要だし、技術の成長とともに好みも変わってきたりするので実はこだわりすぎないのが良かったりします。こだわりすぎてこれじゃなきゃ滑れないってなるとそれが売ってなかったり、そもそももう作られていなかったりしたら滑れなくなってしまうので、好みに余裕を持たせるというか、違和感を楽しむつもりでいれば大抵なんでも楽しめる許容範囲の広いスケーターになれると思います。 

そして、より多くの人がスケートボードを楽しめることを祈りつつ、、、お仕事しま〜す✌️