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今年もついに年末を迎えることになりました。

今年もついに年末を迎えることになりました。いつもインスタントをご利用頂いている皆さまのおかげさまで、こうやって年末年始を過ごすことができています。いつも本当にありがとうございます。

「気がつけば年末」という方も多いのではないでしょうか?今年はやっとコロナフェーズが本格的に過ぎ去ってきて、世界中でコンテスト、イベントが復活した年でした。もう本当に毎月、どころではなく毎週のように日本のどこかでイベントやコンテストが開催されておりました。たとえばコンテストと言ってもオリンピックを目指す選手たちが目指す場所、地元で着実に実力を付けてアマチュアからプロ選手への昇格を狙う場所、日本から世界を目指す選手が集まる場所、ローカルショップやブランドの仲間たちや関わる人たちで楽しくせめぎ合うコンテスト、決められた空間でギューっと詰め込んでいくコンテスト、などなど、実に色々なコンテストがあります。イベントも同じように飲料メーカーや大手スポンサーが主催する華やかなもの、アメリカの老舗イベント、日本の新しい組織で開催されるもの、ローカルショップやブランドで開催するもの、などなどなどなど。もう本当に沢山の種類のコンテストやイベントがありました。僕も嫌いじゃない方なんで、今年はAJSAのアマ戦の関東サーキットはほぼ全戦、プロ戦やダムナム、タンパアマやREDBULLイベントやWORLDSKATE選考大会やSLSなどなど、本当に沢山のイベントやコンテストに参加させて頂きました。表からも裏からもイベントを見ていて「日本のシーンが進化したな」って思うのと同時に「日本のシーンはまだまだ成長過程にある」という実感がありました。

スケートボードシーンは色々なファクターで構成されています。先日のWORLDSKATEのコンテストで日の丸ラッシュだったことは記憶に新しいですが、女子やぎんちゃんとか本当に上手いだけでなく、スタイルもあり、ストーリーもあり、世界の最先端を突き進む選手たちがキラキラしております。またシーンを支えるのはローカルショップです。今はECが全盛で日本中どこにいてもネットで欲しいアイテムが手に入れられますが、やっぱりシーンの最先端の情報や、スタイルやスキルの磨き合い、先輩後輩の中で滑り続けるローカリズム、ショップを起点としたローカルカルチャー、などなど。シーンにはローカルショップが必須です。またローカルによってはアパレルやデッキなどのローカルブランドもあるかと思いますが、今後はますますローカル感が強くなり、コミュニティーの重要さが再確認されてくるのかと考えています。またシーンに必要なファクターとして、メーカーや代理店、そしてメディアなども忙しそうな1年でありました。コロナバブルが過ぎ去り、地道で根気が必要なマーケットになってはきていますが、ローカルショップの役割は今まで以上に重要な位置付けになってくると考えています。ショップがないところはパークとかがシーンの中心になるかと思います。どちらも「ローカルスケーターが集まれる場所」として本当に本当に貴重な存在であることを今一度お伝えしたいと思います。

さて、僕らスケートショップを含む小売業はだいたい年末年始は最盛期ですので、バタバタしながらまた来年もスケートボードプロショップとして皆さんに喜んでもらえる楽しみなプランを詰め込んでいるところです。お台場ストアは元旦からの営業で、他店舗も2日からスタートします。皆さんのスケートライフに少しでもお役に立てるようスタッフ一同新年も精進してまいります。スケートボードはぜひお近くのインスタント、WEBストアをご利用頂けますようお願い致します。

実はインスタントは12月が決算で、この時期から納税までは決算業務で毎年死んでます。膨大なエクセルと諸表の山を整理しながら今年度の動き、流れを再確認して精査し、これからの僕らの成長、進化にどう活かしていくのか、という検討を続けています。数字が夢に出てくるくらい日々考え続けていて、僕にとってはSOTYと同じくらい財務は気になるトピックです。また今年はコロナアフターで沢山のコンテストが開催され、先日の有明のWORLDSKATEの結果を見ても明らかですが日本選手の活躍が止まりません。できるだけ現場で観戦したくて何度も会場に足を運び、興奮と感動に感謝しております。また今年で28年お手伝いしているAJSAもここ数年は低年齢化が進み、それでいてスキルアップが止まらずに見ていて感心してしまうコンテストが多くなりました。それに加えて、今年はスケートパークのコンサル業務も多忙を極めた年でもありました。今月も出張6回、全国の自治体やコンサルさん、地元愛好者との面談、などなど、北から南まで公共スケートパークのプランがいっぱいで、ずっと願っていた環境整備も急ピッチで進んでいる実感があります。総じて日本のスケートシーンはまだまだ成長し、進化し、常に次のレベルへの前進を続けている、ということなのかと思っています。

そんななかで僕らのインスタントを取り巻く環境も大きく変わっています。円安や物価上昇の流れから、スケートボードは1万円を大きく超えるようになりました。価格帯的には僕がスケートボードをはじめた40年前とほぼ同じ価格帯。当時は1ドル200円を切るかどうかってタイミングかと思いますが、今は物価高が合わさって本当に高く感じます。ただ僕が始めた頃と今とよく考えると色々な点で違いがあります。まずデッキテープは1枚で買うのでなく、cmで買っていました。「10cmで300円」とか量り売りがベーシックでした。素材もかなり劣悪でガラスの粉をノリでシートに貼り付けたようなグリップテープは手で簡単に千切ることができ、お金がない僕らは短く買って小さいピースにちぎって貼ることで節約をしていました。また、トラックはパーツ売りがありました。「トラックがパーツじゃん」って方はたぶんは0代以下の皆さんです。実は当時はトラックがバラバラに購入することができました。ハンガーだけ、ベースプレートだけ、みたいな買い方ができたので、ハンガーの芯が見えてきたらハンガーだけ2千円台で交換することができました。ポケットの中には100円玉がいくつか入っているだけで一日中滑り倒し、スポットを移動し、なんとかしてなにかを食べて、毎日を切り抜けていました。

今の中学生や高校生はお小遣いとかもらってるんですかね?毎月数千円って感じでしょうか。当時の僕らもそうでしたし、どうにかして新しいデッキを手に入れるためにあらゆる努力、あらゆる手段を試しました。10インチの最新デッキに好きな感じでグリップテープを貼って、ボロボロの足回りを付けて意気揚々と突っ込んだジャンプランプのファーストトライで、着地で足がずれてバキッとデッキを折ったことがありました。必死でかき集めた15000円くらいのデッキをジャンラン一発で折ってしまい地面を叩いて泣きました。自分のスキル不足と調子に乗った後悔と恥ずかしさとでグッときてしまった。当時はデッキもシューズも一晩じっくりと眺めてから使っていたのに、嬉しさのあまり焦って組んで乗ったのが原因かも、と反省したり、自分に強制的に向き合う機会になりました。15000円を失ったことへの後悔や反省ではありません。デッキを追ってしまった自分のスキル不足や未熟さが悔しかったのです。そしてそれはデッキを折ることだけでなく、足首を折ったり、デッキが車に轢かれたり、と何度も何度も自分に向き合う機会がありました。今思えばそれは自分の成長、アイデンティティー形成に大きく影響していたことだと思います。僕だけじゃなく多くの人がスケートボードに人生を教えてもらってきたのだと思います。

お小遣いの話に戻しましょう。皆さんが必死こいてかき集めて買ったデッキはどこのメーカーの誰のモデルでしたか?それぞれ好きなブランドやライダーが居て、そのグラフィックやカラーなどデッキを選ぶ時にサイズやスペックだけじゃない「なにか」を感じて購入したのかと思います。あなたは好きなデッキを買った、のですが、実はあなたは同時にスケートボードシーンに大きく貢献したことになります。そのデッキを購入する事で、あなたはそのブランドを応援し、貢献したことになります。そのライダーの生活レベルやプロップスを押し上げたことになります。購入したショップを応援したことになります。そのローカルシーンに貢献したことになります。スケートボード専門店であなたが気に入ったデッキを買うことは、実はもっともっと大きなシーンへの貢献を同時に意味します。大事なお小遣いであなたは好きなデッキを手に入れるのと同時にスケートボードシーンに大きく貢献したことになるんです。では、ネットでググった安いノーブランド、もしくはライダーやローカルに貢献しないブランクデッキやなんだかわからないデッキはどうでしょうか?確かに安いかもしれません。でもあなたの大事なお小遣いを使ってもあなたはスケートシーンにリンクすることはできません。そのメーカーの利益になるだけでシーンにはなにも帰ってきません。シーンが成熟することでスケートボードを取り巻く環境もよくなり、カルチャーが成熟し、ギアは進化し、結果としてあなたのスケートライフが充実します。そういう「想い」がある人はそういう「想い」がある人とつながっていきます。金額やクォリティーの違いだけでなく、今後も楽しく充実したスケートライフを歩むのならば、どちらがいいという話ではありませんが、あなたが払う金額への対価だけでなく効果も併せて考えてみてください。それが僕がいつもお伝えしている「スケートボードは専門店で買いましょう」と言う理由のひとつなんです。

80年代からスケートボードを続けてきて色々な事件や悩みがあったとしても、僕らにはスケートボードに包まれている実感がありました。スケートボード以外では僕らを満足させることができるものがありませんでした。起きている間はずっとスケートボードの事ばかり考えていました。進学し、就職し、結婚し、親になっても、やっぱりスケートボードが身体の真ん中に突き刺さっていました。気が付かないフリをしてスーツを来て会社に通って飛び込み営業や接待の日々を過ごしていましたが、ある日自分の芯に気が付いてしまったらスケートボードショップをやることしか考えなくなりました。僕だけじゃなく、スケートボードの魔力に絡まってしまった人はいっぱい居るかと思います。僕の周りにはもう30年以上付き合いのあるスケボー仲間がいっぱい居ます。みんなキラキラ輝いて、自分で選んだ自分の人生を邁進し、常に次のトライを狙っています。僕はスケートボードに出会って本当に良かったと思っています。

おっと、話がそれましたが、僕らインスタントは「これからスケートボードを始める人」だけじゃなくそういう「スケートボードに取り憑かれてしまった人」も全力で応援いたします。またまだスケートボードの本当の魅力に気が付いていない人には全力でその魅力を説明します。そしてスケート定規を共有し、共にスケートライフを歩みます。スケートボードショップは敷居が高く感じるかもしれません。愛想が悪いスタッフも居るかもしれません。探しているアイテムがないかもしれません。でもね、僕らはスケートボードが大好きです。それだけはどこにも負けないくらいアツいスタッフが揃っています。なのでスケートボードのことならなんでも聞いてください。スタッフそれぞれに違うスケートボードへの想いまで聞き出してください。そのことであなたのスケートライフがさらに深く楽しくなることかと思います。最新の情報も、ローカルのネットワークも、パーツやデッキの細かい違いも、気になることはなんでも聞いてみてください。そうやってショップを使い倒すのが大正解です。またこれからスケートボードを始める人は、スタッフにそのワクワクした気持ちや不安や心配も話してください。皆さんのリスクを少しでも減らし、安心納得してもらえるようご説明しますので。

そうやってまた新年も僕らはスケートボウ道を邁進いたします。インスタントをご利用頂くすべての方に支えられて、また次のステージを目指します。スケートボードでどこまでいけるのか、オリンピック選考世界戦で日本人男子が上位3位を独占したのを目の当たりにして、僕は「まだまだ行けるぜ」と往復ビンタされた気分でした。僕らもまだまだ次に進化したい。スケートボードが上手くなりたい。みんなで次のスケートシーンを作りたい、そういう気持ちで皆さまのお越しをお待ちしております。

今年も1年ありがとうございました。また新年からもよろしくお願い致します。

インスタント代表
本間章郎