Marc Johnson

さて、今回は奇才MJをご紹介。

30代半ば以降のスケーターなら大体知っているであろうテクニカルスケーターです。

個人的にとても思い入れの深いスケーターで、初めてプロスケーターを好きだと思ったのが彼です。

それまではただスケートして新しい技ができるようになって嬉しい。みたいな感じで、まぁみんなそうだと思いますけどとにかく自分がたくさん練習してできるだけ上手くなる!みたいなスケボーの遊び方をしていました。

スケートボードの映像があるということを知っていくつかみたことがあったのですが、当時はVHSしか動画媒体がなく、まあまあお高いものだったし、自分の滑りにしか興味がないから何がかっこいいとか、何がダサいとかの概念も曖昧だった気がします。

たまに先輩の家とかで見せてもらっても特に良さがわからなく、自分のスケートの参考になるレベルの滑りでもないので楽しみ方がわからなかったです。

そんなある日、トランスワールドから出たModus Operandiというビデオを誰かから借りる機会があったので家で見たら、MJが滑っていました。

オープニングはシリアスな雰囲気のピアノの曲で始まったかと思いきやいきなりピコピコ系でたまに巻き戻るチュクチュー編集で今見ると結構ダサくて逆にいいと思うけどやっぱりダサいと思うくらい感覚が一回転半していることに気づきます。

そして初っ端のライダーがMJでした。まだ映像を見る集中力が残っていたのも良かったかもしれません。スキンヘッドの白人が白いタキシードでなんかごちゃごちゃ喋っています。

英語全然わからないから今だになんていってるのかわからないけどなんか良いこと言ってそうです…。(こーゆーの日本人がやると結構しらけて鳥肌たつのなんなんでしょうね。)

…そして私は感動しました。

みんなが言う「このスタイルが好き」とか「このラインが良い」とかいう意味がはっきりわかりました。今見るとスローを多用してちょっとしつこいし、自慢してるみたいな雰囲気を感じたりもしますが、当時はそのスローモーションがドラマチックに見えたし、テクニカルなスケーターではあるのですがシンプルなトリックも割とやってくれるので参考にもなりました。5-0とかフロントボードとか…。

滑りが軽いとか重いとかもわかりました。MJだいぶ軽いです。エントリーのしゃがみ具合が浅めでトリック中に手がバタつかなくて着地もリラックスした姿勢で身体にかかる余韻を楽しんでいるように思いました。スケートボードをしていて感じる気持ち良さをわかりやすく魅せてくれている様でした。かなりオールマイティなタイプでステアやハンドレール、レッジ、フラット、マニュアルなどオールジャンルでリラックススタイルなのもどこでも気持ちよく滑れててカッコよかったです。バーチカルとエアーはやらないと決めてるってインタビューでは言ってましたが(コーピングトリックはやるらしいです)。 あとサルフリップも多分できるけど絶対やらないって言ってましたねw

一番印象に残っていたのはラインの作り方だったと思います。

フェイキーオーリーで歩道に乗るスタートのさせ方とか、一個のレッジでトリックを2回やるとか、マニュアルの複合トリックをするとか、フラットでダブルフリップした後に緩いバンクでテール叩くだけのオーリーするとか、緩急のあるラインでこちらの予想の斜め上を狙う感じがオシャレだと思いました。

ラストトリックもオープニングトリックと同じレールでF/Sノーズスライドで綺麗にまとめるのかと思いきや、ちょうどいい感じのベンチでノーリヒールB/Sノーズグラインドってのも彼のひねくれた思想が入っているように思えます。

初めてスケートビデオを観ることが楽しいと感じさせてくれたスケーターでした。

そこから半端ない量のスケートビデオを現在まで観続けることになるのですが、今だにこのパートを観ると感動や発見があります。

でも自分の周りでMJ好きって言う人1人もいないのなんでなんすかねぇw

見た目も技術もアイディアも申し分ないと思うけどなぁ…。

服装もシルエットと色の組み合わせにこだわってる感じとか伝わってきます。10代後半でハゲはじめてるとことかも好きですねw

確実に変な人であることは間違いないと思いますけど(過去クレイルタップ関係のやらかしとかもありましたし…。)

MJは永きにわたりスケートシーンで活躍していたのでこのビデオ以前も以降もたくさんのパートが残されています。ほぼ全てヘビロテしたのですが彼がプロスケーターとして優れている点が一つ、新しいパートを作るたびに必ずと言っていいほど新技を出してきます。しかも自分の新技というか世界初の新技です。結構それがそれ以降流行るトリックだったりするところもすごいです。その辺はオタクな玄人スケーターも気づいてない人多い印象です。レーザーフリップは明らかにMJが復活させたトリックだと思っています。フェイキーノーズグラインドのビッグスピンアウトとか、上りでスイッチバックリップとか…。

たくさんのプロスケーターを観てきましたが、彼ほどクリエイティブにニュートリックを発信し続けたスケーターは少ないのではないですかねぇ。(デーヴォンとかミューレンとかはちょっとチーターすぎるから例外っす。)

あとキックフリップめちゃくちゃ上手なのに絶対にフラットで単品のフリップしないという特性もありますね。1upとかステアとかフリップイン、フリップアウトはするのに単品フラットでは絶対やらないぽいです。なんのこだわりか知らないけど観たいのでやってる映像あったら教えてください。

このModus OperandiにはMike Carrollのスケート史に残る伝説のラインやBrian Andersonの顔が怖すぎるバックスミスなど見どころ満載の名作ビデオなので他のパートもおすすめです。Chany Jeangueninという発音不明なバーチカルスケーターの四角いキックフリップも結構好きだったなぁ。

24年前のスケビですがお時間ありましたら是非ご覧くださいませ〜。